演出の石田昌也先生×珠城りょう、とても相性がいいですね。
2018年の「カンパニー」のとき、主人公は妻に逃げられたサラリーマンで…これ、たま様が演るの?? 石田先生、どんな宝塚マジックをかけられるのでしょう?と思ったら。
ほっこり、心温まる作品に仕上がってました。
スマホの待受にしている亡き妻(設定変更)の写真に向かって、今日も一日頑張ったよ、って語りかけるたま様にキュンキュンした方も多いみたいです(*´艸)
スーツ&コートにリュックサック姿が似合う~^^
バレエ団の白鳥の湖のシーンやダンスユニット・バーバリアンの場面は、とてもワクワクしました♪
今回の「幽霊刑事」が発表になった時は、そんなにわくわくしなかったんですけども ^^;
原作本を読んだら 恋愛要素薄めで、後輩の早川刑事との会話がとても面白かったんです。
早川刑事役がちなつ(鳳月杏)と発表になって 期待倍増!!
珠城りょう×鳳月杏@バウホールといえば、大好評を博した「月雲の皇子」。
上田久美子先生の鮮烈な印象を残した演出家デビュー作品でもありました。
8年の時を経て、退団前のたま様が、ちなつ(鳳月杏)と再びガッツリ芝居で絡むのも何かの縁を感じずにはいられません。
今回は、警察学校の同期(原作では後輩)の早川刑事に鳳月杏。
イタコ体質(死者の声を聞ける)であることのサジェスチョンに、「りんごの入った箱」を持って異動の挨拶に(原作ではもともと巴東署員)。
おばあちゃんが青森の恐山のイタコだったのでDNA的に聞けるんですね~w
おかげで、たま様演じる神崎刑事は、事件解決にこぎつけることができました。
二人の掛け合いが面白く、「死んでいること」を逆手にとった言葉遊びもいっぱい!
テンポのいい、たまきちとの掛け合い、ホント楽しいです!!
ちなつちゃんは、幽霊の神崎としゃべっているところを見られて、頭がおかしい、とか病院に行きなさい、と命令される始末。
神崎の恋人の須磨子にも ここに神崎がいる、と言っても全く信じてもらえず、四苦八苦してるのが 面白可愛いです。
一生懸命な早川刑事を好演するちなつちゃん、好き❤
原作ではダサめに描かれていた早川を、宝塚歌劇団の中でも屈指の脚長のちなつちゃんが演じてるのですが‥眼福でよかったです。ムフ♪
サヨナラする、その前に に込められた意味に…
石田先生グッジョブです!!
神崎刑事は、署内の経堂課長に殺されたことを伝え、事件解決をするために、この世にとどまっていました。
事件が解決する時が、完全に消える(サヨナラする)時。
その前に、早川刑事の力を借りて事件解決していくところが見どころ!
婚約者の須磨子(演:天紫珠李)とサヨナラする時が切ないです。
消えてあげるのも また愛、と。
月組トップスター珠城りょうがサヨナラする(8月15日)、その前に、バウホール公演しました、という意味も掛けられていて、じわじわ来ますね。
あくまでもワタクシの印象ですが、たまきち、退団発表をしてから、肩の荷が下りたのか、とても自然体でのびのびと演技をしているように感じます。
早い段階でのトップ就任で、重責や気負いが重い鎧になってたのかなぁと思ってみたり。退団で、そういう重石を脱ぎ捨てて 軽やかに爽やかになった気がしてます。
役作りが印象的だった、白雪さち花姐さん。
上級生がずっと在団していると、下級生の「蓋」と言われることがありますが、それは、特筆すべき事がない場合で、さちかちゃんは、マルチにご活躍されていますね。
特に歌唱場面で素晴らしい働きをされてますが、
「ON THE TOWN」では、しっかりいいお役に抜擢されてましたし、「I AM FROM AUSTRIA」でもかわいこちゃんが演るお役で^^健闘されてました。
が!!今回は、泥棒の常習犯。久須悦子 クスエツコ… マダム・エックス と呼ばれている女泥棒役。
銀行強盗のような派手な犯罪ではなく小さな窃盗を繰り返してるホームレス風の女。
指なし軍手をはめて…声の出し方、下卑た笑い、ヘコヘコ上目遣いで動く様が本当にリアルでお上手でした。
役作り、敢闘賞!!
白河りりちゃんは、エトワール
とても可愛いろうあの少女・愛ちゃんを演じてました。
ろうあと言っても、すこし話せるのですが…こちらもリアルでした。
事故で亡くなってからは、普通にお話できるので りりちゃんにセリフあってよかったです!!
ろうあの愛ちゃんと交流があった須磨子は手話が出来たので、ラスト、毬村刑事との対決場面で手話で、コートの下の拳銃を取るように須磨子に指示するのです。
愛ちゃんは 石田先生の創作ですね。
フィナーレで、愛ちゃんのワンピースのままで一曲歌っていたので、階段はないけれど、ドレス姿ではないけれど、この作品でのエトワールはりりちゃんなんだな、と思いました。
歌唱力もあり、可愛いので、今後のご活躍が楽しみです!
専科のお二人の存在感
神崎刑事の母親役 京三紗さん
「カンパニー」にもバレエ団の代表役でご出演でしたから おなじみですね。
警官の夫を殉職で亡くし、息子も殉職で亡くし気丈に振る舞うけれど 一人になった時に写真を抱いて泣き崩れるところは 涙を誘いますね…
幽霊仲間の雲井役 汝鳥伶さん
幽霊の先輩格の雲井さんは、幽霊の心構え、進むべき道を教えてくれます。
雲井翁の言葉は、重み、含みがあって、書き留めておきたいような珠玉の言葉、心に染みました。
で、今書こうと思ったら 忘れてしまってました…ちーん。
演出について
登場人物を紹介する場面で、じゃじゃじゃん♪と音楽が流れたら スポットライトが当たってキャストを紹介、暗転したら じゃじゃじゃん♪ 別のところにスポットライトが当たって…というのは ちょっと古臭い演出に思えて残念でした。
音楽も、ちょいダサめ for me
セリフの応酬を楽しむセリフ劇なので、台本命です、それは 成功していましたね。
セリフ劇なのに、滑舌が悪いと楽しみ半減しますが メインキャストは、滑舌よく聞き取りやすくて100%楽しみました。
やっぱり役者は声。
スタッフ
幽霊は発光している、という設定(小説)なので、人間と幽霊の違いをどう演出されるのか、注目していました。
幽霊になったたまきちの衣装は、光沢のあるシルバーのスーツ。
発光はしてないけれど トーンが淡いので「幽霊」「見えざる存在」な感じは出てました、グッジョブです。
今回の衣装担当は、私好みの衣装をデザインされる加藤真美さん。
とは言え、警察の制服か、須磨子の私服とか、あまり工夫のしどころのない作品です。
幽霊になった老人・雲井さんの和装がよかったです♪ キャラに合ってました^^
演出 石田昌也
作曲・編曲 手島恭子
振り付け 平澤智 AYAKO
衣装 加藤真美
演出助手 指田珠子
演出助手 栗田優香
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