「婆娑羅の玄孫」と聞いて、全く食指動かずでしたが、今回、星組が3つに分かれて公演しているので、どの公演も観ておこうと思い、配信で観ました。
ネタバレしているので、東京公演これからご覧になるかたは 自己責任でお読みください。
第一幕と第二幕は別物
第一幕の続きが第二幕のはずが、みきちぐさん(美稀千種)とぴーすけ(天華えま)は、役名が2つあるのは、どゆこと?と思ったら、一幕と二幕は別の話でした…
お仲役のあんるちゃん(夢妃杏瑠)は、一幕では芸者で、二幕で細石蔵之介(ネーミングセンスに脱力)の家の下女のお役でした。
芸者のお仲が、蔵之介の家に下働きに来ているわけではなく、別の役なのか、と。
なんだか不思議な感じでした。
第一幕で感じた違和感
1️⃣ 中国人の麗麗と真真が長崎から江戸へ
ありえない設定です。
江戸時代は、現在のように自由に旅行も出来ず、ましてや、鎖国下の日本に住む中国人の未成年者に通行手形が発行されるはずもないのに、違和感ありすぎ、テキトーすぎ。
2️⃣ 人が死んで大笑いとは?
麗麗と真真の悲願、親の敵を討って めでたし、めでたし??
死体の前で皆さん大笑いで第一幕終了、って、ものすごい違和感ありました。
そこ、笑うとこ??
正義感のある、「いい人設定」の蔵之介なら、敵を討っても何の解決にもならん、とか、「人を殺す事」は悪ってことを説くとかならわかるけど。
江戸時代に、敵討ちはあったにしても、たくさんの書物を読んで、知徳を備えているであろう蔵之介が、コレ?? は?
「いい人」だから、親の敵討ちを手伝ってあげた、ってことなの~??
袖触れ合うも他生の縁、ってだけで手伝う案件かしら? 敵討ち。
すごく浅薄な印象。
3️⃣ 子役ぞろぞろの場面が冗長
幕前芝居。子役が横にずらりと11人並んでの場面、冗長に感じました。
セリフかな? もっと面白い場面にできなかったか…
第二幕は、退団する轟悠さん礼賛の巻
轟さんの宝塚人生最後の作品、ということで、轟悠礼賛、で終わるんだろうな、との予想通りの展開。
蔵之介は、父親に縁を切られたと思い込んでいたけれど実は…
と、ここのゆーちゃんさん(汝鳥伶)さんの説明セリフが長~い!
父は、蔵之介を守るため、敢えて縁を切ったのだ、と明かされるところは、
ええ話や~♪
二幕には、はるこちゃん(音波みのり)とのしっとりとした想いを交わす場面もあり、よかったです。
しかし…蔵之介の「私を好きか?」 単刀直入すぎる!!w こんなこと言う人いる?
別の意味で赤面。
蔵之介の留守中に、ゆーちゃんさんが、ぴーすけとみきちぐさん(一幕で殺されたお二人の別のお役)を伴って 夜更けに長屋にやってきます。
このお三方は、蔵之介の実家、佐々木家の家来です。
蔵之介さんは、こんな時間まで出歩くことなどないのに…とお仲(夢妃杏瑠)が説明した後、では、これで失礼します、と帰っていくんです…客人を残してw
本当に面白い作品でしたw
キャストについて
この作品は、「退団する轟悠さん」のために書かれた作品ですので、相手役とか、2番手役とかがはっきりしてないように感じました。
はるこちゃんは、明らかに相手役だと思いますけど…2番手も3番手もないですね?
・細石蔵之介 轟悠
配信回、出落ち?
歌唱場面から始まって いきなり音外す顧問。
心配するわ…^^;
お芝居は、いい人全開のお役で、ご自身の退団公演ということもあり、さらっとハートウォーミングに描かれていました。
日舞がお得意の轟さんのラストステージらしく 日舞がたくさん!!
星組のみんなに いい勉強をさせてくださいましたね。
・小久保彦左 汝鳥 伶
佐々木家の家臣で、幼い頃から蔵之介を見守っている爺、というお役。
ゆーちゃんさんならではの重鎮の役であり、心に染みる演技には定評がありますね。
今回のお役、専科として一緒に活躍してこられた轟さんへの思いが溢れているようにおもうのは 私の穿ち過ぎかしら?
・五貫屋嘉兵衛/小笠原俣三 美稀 千種
みきちぐさんのお芝居が大好き!! オーム・シャンティ・オームなんて、最高でしたw
今回は、善人と見せかけておいて裏では悪事を働く 帯刀を許された御用商人で、銃まで持っているんですね。芝居が巧い。
一幕は、ラストで敵討ちされて死にます。
二幕は、佐々木家の家来かな? あまりセリフもなく、一幕が見せ場です。
・お鈴 音波 みのり
轟さんの相手役、すごく良いお役。
ダンスもお芝居もお上手だし、色気もあるし、チャーミングな娘役さん、大好きです!!
ブロともさんとのLINEで、もしや、次辺り、退団??ブルブルと二人で恐れていました。
・お仲 夢妃 杏瑠
一幕では芸者で、歌唱場面もあり、日舞も披露、と和モノでもショースターぶりを発揮。
二幕では、ガラリと雰囲気を変えて…
杏瑠ちゃんも そろそろ学年的にアブナイ・・
・長太 ひろ香 祐
ヒーローは、歌も日舞もお上手ですね~♪
かりん(極美慎)とセンター取ってましたね。
紫りらちゃんと、95期同士の丁々発止の掛け合いも小気味よかった!!
長屋では、息子にぐいぐいヤラれるお父さん^^
・お花 紫 りら
りらちゃんも気っ風のいい江戸っ子のおかみさん。
長屋でお蝶との場面もいいけど、やっぱり ヒーローとの掛け合いがいい感じ♪
・阿部四郎五郎/西川頼母 天華 えま
一幕では、御用商人とつるむ旗本、二幕は、佐々木家の家来。
ん~、ぴーすけのポジションだともう少しいい役がよかったわ。
一幕と二幕で役が違うから、どちらも印象が薄い。
・おたえ 澪乃 桜季
おたえの働きがあったからこそ、茶会に忍び込んで仇討ちできたわけで、なかなかやりてのおかみさん、を好演^^
・又一 天希 ほまれ
今回子役、納得いかない。もったいない。
・麗々 小桜 ほのか
一幕、目立つお役。長崎から来た中国人の少女・麗々。
たどたどしい日本語を話して一生懸命、五貫屋は悪いやつ、って訴えて熱演。
今回、あまり良いお役がないから、これでも御の字。
ほのかちゃんはできる子なので、勿体ない感じ。
・権六 極美 慎
瓦版売りだけど、一幕も二幕も通し役で、轟さんとの絡みもありいいお役でした。
華やかな容姿と長身で、ビジュアル専科…と思ったら、お歌よくなっていました。
「シラノ・ド・ベルジュラック」で、轟さんと共演したから今回、こちらの公演に呼ばれたのかな?なんて思っていますがどうでしょう?
以前のほわーんとした感じではなく、しっかりと地に足がついてよかったです!
・真々 稀惺 かずと
言わずと知れた、テニスプレーヤー松岡修造さんのお嬢様。
…ということは、宝塚歌劇創設された小林一三さんの孫の孫、玄孫に当たるんですね。
だからこちらにキャスティングされたのかしら?
トップオブトップの轟さんとの共演の機会を作ってあげようという劇団の配慮もあったでしょうし、目立つ役が少ない中で 真々という目立つお役にいきなりの抜擢でした。
お顔も可愛いし、男役としては小柄なので娘役でもいいぐらいですが、将来トップスターが約束されているからの 男役なんでしょうね。
101期以下は、ほとんどが子役さんでしたね。
ワタクシ個人的には、「エル・アルコン鷹」でニコラス・ジェイドを演じた咲城けいくんが 目立たなかったのもちょっと残念でした。
日舞と植田紳爾先生
日舞の得意な轟悠さんと、日舞の演出を多く手掛けておられる植田紳爾先生とはご縁も深そうです。
この作品にもたくさんの日舞の場面が登場しますが、2年に1回、日舞を披露する「宝塚舞踊会」を開いている歌劇団、
昨年、日舞でご活躍されていた松本悠里さんも退団され、轟悠さんまで退団されることになり、宝塚の日舞を継承していく植田紳爾先生もご高齢で…
今後どうなっていくのか、気になります。
轟悠さん、まさかの退団
2002年2月12日付で、「春日野八千代のような存在に」と請われて専科へと異動
…とありますので、退団することなく、人生に幕を下ろす=退団だと思っていましたので、退団発表を聞いたときは、
オドロキ、トドロキ、サンショノキ、でした。
死ぬときが退団、なんて悲しすぎます。
みんなから、ご卒業を祝福されて辞めていくのが美しいです。
病院で亡くなった知らせを聞いて それが退団だった 春日野八千代さん。
そんな 天皇のような存在は宝塚に必要あるのでしょうか?
退団を発表された時の轟悠さんの笑顔は輝いていました。
そういう思い出や印象を残して退団するのがいいですね。
多才な方ですから、退団後も別の世界でご活躍されそうな予感がします。