雪組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ 『海辺のストルーエンセ』
3月1日 11時30分公演を観てきました。
演目が発表になったとき、ストルーエンセって??と検索してみたら、仰天の人生を生きた人でしたし、クリスチャン7世もどんな風に描かれるのかと心配してました。
出演者のみなさんがお上手で、良いカンパニーでした。
最後にご挨拶で出演者が登場される場面、組長さん(奏乃はると)とまなはる(真那春人)が並んで出てこられて、客席をご覧になった表情に、たまらず…泣く。
温かいな〜、って…
キャスト別感想、書き留めます
朝美絢(ストルーエンセ)
ギラギラ野心丸出し、というより、スーッと人の心の中に入り込んで意のままにことを運ぶストルーエンセ先生 ^^;
皆が恐れて手を付けられなかったクリスチャン7世に果敢に挑んだのも、クリスチャン7世の心を掴んだ要因のひとつですね。
酒浸りで横暴で危険なクリスチャン7世を手なづけていく様は本当に面白かったです。
あーさ(朝美絢)って多面体の魅力がありますね。
美しく、可愛く、妖しく、クール、そしてピュア。
そんなあーさの魅力を指田先生が余すところなく引き出してくださった作品。
前の東上公演『ほんものの魔法使』は個人的には物足りなく、あーさの無駄遣いな気がしてました。
今公演は、対カロリーネ、対クリスチャン7世との芝居も場面ごとに心の動きを繊細に表現していましたね。
王太后ユリアーネとの対立やランツァウ伯爵らと画策したり、と政治的な力関係でもうまく立ち回るストルーエンセ。
そして、カロリーネとの場面は、本当に美しいカップルで、あ〜〜美しいものを観ているアテクシ…宝塚…最高…バタッorz な感じで、極上の絵を観ているような眼福。
波乱万丈のストルーエンセの人生を生きたあーさ、ラストフィナーレナンバーで、キラッキラの笑顔♪
これだから、朝美絢には油断ならないわw
音彩唯(カロリーネ)
なんて美しくて、可愛いの!!
無垢で、上品で、お利口そうなお姫様。
このお役はハバマイちゃん(音彩唯)にぴったり!
カロリーネはイギリスから嫁いできたものの乱暴な夫・クリスチャン7世を嫌って、部屋で啓蒙思想の本を読んでいるけれど、
子供の頃は乗馬が好きで、お姫様になったら軍隊に入りたい、っていう女の子でした。
自由、平等が大好きなカロリーネは、ハプスブルク家のエリザベートに通じるところがありますね、「ナウオンステージ」でもハバマイちゃん、言ってましたけど。
つまらない日常にさした一筋の光がストルーエンセ先生。
恋に落ちないはずがない、
その過程をしっかり演じてて好感が持てました。
『Sweet Little Rock'n'Roll』も、いいお役でしたけど 今回のようにヒロインで、
もっといろんなお役を演じるハバマイちゃんを観たい!
そう思わせるだけの実力、演技力がありました!
縣千(クリスチャン7世)
幕が上がる前は難役かな?と思うようなお役でも、いつも納得のいく形で仕上げてくるあがちん(縣千)。
ダンスシーンでは、あがちん真ん中に躍り出てきただけで、わくっ♪っと気持ちが上がるわ^^
お酒を飲んでは暴れる横暴な王が、ストルーエンセを信頼して、ストルーエンセ先生が言うから、とお酒は止めて紅茶を飲んで、ストルーエンセ先生、ストルーエンセ先生を連発して、慕っているのが見えて可愛い♪
あがちんは、ぐいぐいくるリーダー役が似合うようで、実は、自信無げな、ちょっと困った表情で遠くを見る目をしてるときなどキュンキュンきますw
『蒼穹の昴』でも、おばさまの西太后にいちいち意見を仰がなくてはならない光緒帝役、自信なさげで不安そうで、普段とのギャップ萌えにヤラれました。
葛藤する王を演じる縣千、大好物。
三角関係でありながら、ストルーエンセを信奉しているせいか、王妃の取り合いという色合いは薄かったように感じました。
愛すみれ(王太后ユリアーネ)
クリスチャン7世の継母で、いずれ我が子を王位につけようと虎視眈々狙っている王太后ユリアーネ。
今回、愛すみれちゃんが、ニコリともしないのがすごい!!
フィナーレのダンスナンバーでは笑顔も見せていましたが、最後のカーテン・コールであの王太后のドレスを着たら、絶対笑わない。
役者魂ブラボーですっ!
威厳あるお役もお似合い、安定の歌唱、いつまでもご活躍して欲しい愛すみれちゃん♪
真那春人(ランツァウ伯爵)
脇で腹黒い役とか、軽妙なお役をさせたら天下一品、な、まなはる。
宮廷を追い出されたランツァウ伯爵が、ストルーエンセと手を組んでまた返り咲き作戦、失敗w
安心して観てられる、自然なお芝居にいつも引き込まれます、巧い!
諏訪さき(ブラント)
今回、真ん中で踊っていたり、見せ場たくさんで大躍進な感じ。
一生懸命さがいじらしい。
99期のしゅわっち(諏訪さき)もこういうお役を演じるようになったんだ…と胸熱。
芝居一座の白峰ゆりちゃん、女官の妃華ゆきのちゃん、神学者の叶ゆうりくん、芝居座長の一禾あおくんもたくさん目に飛び込んで来ました。
演出について
史実があまりにもエグいストルーエンセの最期。
どうなるかと心配でしたが、宝塚らしく決闘で、しかも1幕からの伏線回収、お上手ですね♪
ポスターを観て、史実を知って、暗いのかしら??と思っていたけど、笑えるポイントもいくつもあって、コミカルとシリアスのバランスもいい。
フレンチミュージカル風の場面(愛の錬金術)もノリノリで音楽もいいですね♪
ワクワクしました!
衣装担当は、ロココ調のゴージャスドレスがお得意の有村淳先生に入団当初から布の購入にも同行して学んで来られた加藤先生のデザイン。
加藤先生のお衣装は、カロリーネはじめ、娘役さんのドレスがとっても美しいですし、
クリスチャン7世の衣装もビーズの刺繍が美しくため息ものでした。
芝居一座を使うなどしてわかりやすく描かれていましたね。
テニスの場面があると聞いていたのでどんなん?と思ったら、王太后もラケット持ってて…スマッシュのフリと音がうまく合っててスカッとしたり^^
いろいろ…面白かった^^
舞台装置はシンプルですが、バックが海で、開演前から波の音が聞こえていて、海辺の雰囲気を醸し出していました。
心憎い演出です。
《覚書》スタッフ
作・演出 指田珠子
作曲編曲 青木朝子 多田里紗
振り付け KAZUMI-BOY AYAKO 港ゆりか
装置 國包洋子
衣装 加藤真美
演出助手 菅谷元