「冬霞の巴里」、2022年3月30日16時公演を観てきました。
作品がいい!キャストがいい!!音楽がいい!!
もう、満足感でいっぱい!!
いや~、花組、すごい!!
「TOP HAT」の圧巻のダンスと、楽しいお芝居に、何度も観たい!!と思わされ、
「冬霞の巴里」のカンパニー全体の空気がよくて、作品の世界観に酔いました。
そして、演出の指田珠子先生の演出は、デビュー作の「龍の宮物語」から独特の世界観を描き出されるのがお上手で、デビュー作から素晴らしい、とは思っていましたが、2年余、登場人物の心の機微を丁寧に描かれていて引き込まれました。
最近の若手の演出家の先生方のご活躍、素晴らしいです!!
青は藍より出て、藍より青し!
あ、一昨日、ゾンビメイクの下宿屋の人たち、人間ではない?って記事に書きましたが
下宿屋の人たちは、人間でした!!
なぜ、あんなメイクなのかは、ちょっと謎ですが、先生のこだわりのようです。
「冬霞の巴里」は永久輝せあの代表作に…
なるかも知れない!
もっとぴったりの作品に今後出会うかも知れませんが、「代表作のひとつ」にはなると思っています。
「はいからさんが通る」の高屋敷要にしても、「NICE WORK IF YOU CAN GET IT」のアイリーンも、「元禄バロックロック」のクラノスケも明るくて爽やかなお役で、それがまたぴったりでした。
今回のお役は、苦悩するお役。
チャーミングな笑顔封印で、終始ちょっとイライラした感じを醸し出して。
復讐という黒いエネルギーを体の内にたぎらせて、生きてきたオクターヴ。
それだけで、どれほど辛い人生だったことか。
復讐をすれば、自分も地獄の苦しみを味わうというのに、復讐に駆り立てられていくんですね。
真実を知ったオクターヴの苦悩と絶望。
絞り出すような苦しさを表現するひとこちゃん(永久輝せあ)は、冷たい刃物のようなクールでシャープなまなざし。
ゾクゾクするような、凄みさえ醸し出していました。
今回、前にも書きましたけど、2段も3段もステップアップして、確かな手応えを感じたのではないでしょうか?
オクターヴは、実はクロエの子供ではなく、使用人の子であり、本当の姉弟ではない、とわかり、こちらまで苦しくなるような、抱きしめてあげたくなるような展開。
最後は、オクターヴとアンブル、二人肩を寄せ、寄り添い合って去っていきます。
二人はどうなるのでしょう、余韻を残した終わり方に、幕が下りた後に、宿題を渡されたような、いつまでも咀嚼していたいような気分。
その後の二人の運命は、それぞれ観た者に委ねられているのですね…
芝居の層が厚い、見ごたえのあるお芝居
1幕は、フレンチミュージカルのような楽しさで、特に下宿屋の皆さん、元気いっぱい^^
皆さんお芝居がお上手なので、観てて安心感がありました。
美咲ちゃんが話してましたが、休憩時間にも、上級生下級生関係なく芝居談義に花が咲いているようで、すごく良いカンパニーだな、と思いました。
だからこそ、一致団結して、いい作品にしようという意気込みが溢れているように思いました。
キャスト別感想 ネタバレあります
星空美咲
今回で東上公演ヒロイン2回目の若手実力派の娘役
落ち着いた、押さえた演技がお上手でした。
突っ走る弟を時になだめながらも見守る姉、という役どころ。
研3とは思えない堂々たる演技で、ひとこちゃんよりも下級生だけど全然違和感なくお姉さんを演じていました。
ダンス場面などでも、しなやかに華やかに踊り、歌唱もお上手で、いつでもトップ娘役になれる実力と舞台経験の持ち主。
今後がますます楽しみです。
聖乃あすか
初めての黒いお役。
下宿屋の住人なので、メイクがゾンビメイク。
アナーキストであの小汚い下宿屋で暮らしています…
眼光が鋭い!
多分楽しんで演じていると思います。活き活きして演技上手くなったように思いました。
専科・一樹千尋
定番の老け役ですが、醸し出す雰囲気やセリフ回しが独特で、共演者の生徒さんは皆、勉強になる、とおっしゃってます。ずっと観ていたいぐらい、と。
歩いているだけで、フィクションとは思えない役作り。
これでこそ専科さんの真価ですね^^
専科・紫門ゆりや
ゆりちゃん、花組に初特出♪
今回は、女役、ということでちょっとドキドキだったそうですが、さすがロイヤルゆりちゃん、貴婦人の似合うこと!
前半は、思わせぶりなワル顔してましたが、後半は、悩めるお母さん。
今回、フィナーレがタンゴで、女役さんは、深いスリットの入った真紅のベルベットのタイトなロングドレス。
「振りがついた時の緊張半端なかった」と言っていたけど、ダンサーだけに、しっかり女役の振りも様になっていて…その姿がなんだか胸熱でした…^^
あぁ、ゆりちゃん、専科さんでいい仕事してるな、って。
飛龍つかさ
黒いお役お上手!!
クロエと共有している過去に苦しめられながらも警視総監という立場にいて。
含みのある前半は、オクターヴの憎しみの対象でしかないけれど…
後半は、ギョームなりの正義があって…という 場面によって違うギョームの顔を演じ分けて。
つかさくん、立派になったな~とちょっと眩しい感じ^^
和海しょう
オクターヴとアンブルの父。二人にとってはすごくいいお父さんだけれど、お父さんのせいでもうひとりの姉は自ら命を絶った…
クロエは、二人の女の子を連れて再婚してきたが、イネスは父の思い通りに生きるのが嫌で命を絶ってしまい…
一見紳士なのに、裏の顔は…なしーちゃん演じるオーギュスト。
彼は、弟ギョームにまで指示をして…
希波らいと
一服の清涼剤的 ミシェル♪
両親(ギョームとクロエ)の愛を一身に受けて育ってきたミシェルは、オクターヴとの対比でしょうか。
素直で純粋で…明るくにこやかならいとくんにぴったりの素敵なお役。
花組の路線としていい感じに育っていますね。
思えば2019年の「花より男子」ですでにF4でポスター入りしてた超有望株ですね^^
愛蘭みこ
暗闇の中の一条の光的 エルミーヌ♪
ミシェルの婚約者、でものすご~~~~~~~~く可愛い♪
「元禄バロックロック」新公で、音くり寿ちゃん演じたツナヨシを演じて初めて注目したのですが、お歌もお上手でした。
そして何より可愛い!!!
声も滑舌よくて、セリフたくさんありましたが、聞き取りやすかったです!役者は声が命ですから。
ジリジリするような場面でも、エルミーヌが出てくるとポッと明かりが灯ったような、ホッとするような心地。
いいお役もらいましたね^^
峰果とわ
オクターヴの父の部下で父を殺した男・ブノワ。
今は大金持ちで、選挙にも出る予定あり、という役どころ。
オクターヴの復讐の標的に。
今回、セリフも多く、お芝居、見応えありました!
侑輝大弥
下宿屋に住む医大生。
あすかちゃんとの絡みもあり、いい所で踊っていたり、美味しいお役でした。
オクターヴとアンブルの少年少女時代のお二人、初音夢ちゃんと湖春ひめ花ちゃんがとてもかわいかった♪
適材適所で大満足♪
幕開き、3人の復讐の女神・エリーニュスが登場しますが、歌上手の咲乃深音ちゃんの透き通るような歌声に魅了されました。
下級生にまで、セリフを与えて経験を積ませているのはいいですね。
小劇場だからこそできる 演出家にとっては冒険。
生徒さんにとっては見せ場をもらって、モチベーション爆上がりですね。
観客は、生徒さんひとりひとりのお顔がわかるのが嬉しかったです!
スタッフ
作品全体を通して音楽がよかったです。
擬闘は剣でオクターヴとギョームがお手合わせをするのですが…あわや、ギョームを刺殺しそうになる、という緊迫感のあるシーンは、栗原先生の振り付けなんですね。
いつも気になっている衣裳担当、今回は、有村淳先生。
オーギュストの白いスーツには、血のような赤いラインが入っていて不穏。
オクターヴとアンブルの衣裳は、シックな花柄。
下宿屋に住む人達はボロのような服の人も…
衣裳を観るのも楽しみのひとつです。
作・演出 | 指田珠子 |
作曲 | 青木朝子 |
振り付け | 御織ゆみ乃 |
〃 | 平澤智 |
擬闘 | 栗原直樹 |
衣裳 | 有村淳 |
演出助手 | 雑賀ヒカル |
配信絶対観ます!!
昨日は更新お休みしてごめんなさい!