2022年11月24日 15:30公演
万代貸切公演を観てきました。
10月中旬に「斜陽の国のルスダン」を読みました。
あまり馴染みのない、13世紀のジョージアを舞台に、繰り広げられる ルスダン(演:舞空瞳)への王配・ディミトリ(演:礼真琴)の献身愛が切なく胸に迫りました。
生田大和先生、この作品をどう舞台化されるのか楽しみにしていました。
⚠️ネタバレあります、ご注意ください
原作本では、深く描かれることのなかったルスダンの兄・ギオルギ王(演:綺城ひか理)の人となりや、ギオルギ王の妻・バテシバ(演:有沙瞳)もしっかり描かれていて、見応えのあるエピソードもありました。
同じく原作本では名前が語られるだけ、な副宰相のアヴァク・ザカリアン(演:暁千星)は、ディミトリに敵対する役として、しっかりと描かれ、セリフも多く見応えありました。
ありちゃん、すっかり星組っ子で、のびのび演じてていい感じ!
原作にないお役、リラの精は星組の歌姫(小桜ほのか、瑠璃花夏、詩ちづる)が透き通るような声で場面を盛り上げ、
美稀千種さん演じる物乞いはストーリーテラーという役割を担っています。
ジョージアの民族衣装チョハの裾を翻して踊るジョージアンダンスがかっこよく、星組らしいキレのあるダンスを披露してくれました。
戦闘場面がジョージアンダンスでとても勇壮な雰囲気でした。
チンギス・ハーン役のオレキザキ(輝咲玲央)は、せり上がりの登場だけで、貫禄半端ないです!
モンゴル軍との戦闘は前半のいち場面だけなので、長くは見れませんが、こういう生徒さんが居てくださって芝居に厚みが出るのがありがたいです^^
ギオルギ王、原作では、戦闘で負傷し、なんとか王宮に戻ったものの、矢傷が原因で亡くなってしまいます。
ディミトリに、ルスダンと結婚するように、ルスダンには国を治めるように言い残して。
舞台では、ギオルギと妻・バテシバの愛もきっちりと描かれ、バテシバに反発するルスダンとの歌唱対決?場面は迫力ありました!
バテシバの幸せを願って、故郷に帰すギオルギの寛容さ、それもひとつの愛の形。
バテシバが、去っていく後ろ姿にキュンと切なくなります。
礼真琴、綺城ひか理、有沙瞳の3人での歌唱が素晴らしく、耳福でした。
ルスダンとディミトリの結婚から、ディミトリに対する役人たちの風当たりが強くなっていくのですが、このあたりから、ありちゃん(暁千星)演じるアヴァクの動きが活発になっていきます。
アヴァクの臣下の碧海さりお、天飛華音、水乃ゆりとのちょいとダークな感じもよかったです。
原作では女官長は登場しないのですが、うまくお役を当てているな〜と^^
奴隷のミヘイル(演:極美慎)が、娘のタマラを馬の後ろから助けるシーンは、どうされるのかと思ったら…
天幕と馬のシルエットで、馬だけにうまく演出されてました♪
なるほど、こうやって描くのか、と感心!
ジョージア存亡の危機を目の当たりにして、ディミトリの一存で生まれ故郷のルーム・セルジュークの間諜(庭師 演:朝水りょう)と話している所をルスダンは見てしまい、裏切られた腹いせにミヘイルを寝室に誘い…
…とこのあたりは、原作のままで、ワタクシの脳内再生とほぼ同じものが目の前に!
楽し〜い!!
モンゴル軍が去ったと思えば、今度はモンゴル軍に国を奪われたホラズム軍が…
ホラズムのスルタン・ジャラルッディーン(演:瀬央ゆりあ)がセンセーショナルに登場!!
髭と黒い衣装で、バッサバッサとジョージア軍をなぎ倒す様がかっこいいです!
ミヘイルに剣を突き立てたディミトリ。
ここ、観るのが辛い… 裏切られたと思っているルスダン、ディミトリは、ルスダンとジョージアの未来が良きものになるように…と陰で画策していたのに…
ルスダンの命で囚われてしまう…(泣)
ちゃんと伝えなかったのがいけなかった、と言ってももう遅い…
なぜ?という思いと 後悔で苦悩するディミトリをこっちゃん好演♪
胸がキリキリします。
囚われた城の一室に、暗に「自害せよ」と毒をもってくるアヴァクの手下・あまと。
一瞬のすきに逃げ出すも、あわや、の所でジャラルッディーンのせおっち登場!
原作どおりですが、登場の仕方がかっこよすぎ♪
髭が美しいせおっちのお顔を精悍に見せていますし、せおっちの演技は、男気のある器の大きい人間を感じさせますね。
ジャラルッディーンの書記官のアン=ナサウィ役のぴーすけ(天華えま)は、軽妙な役どころをうまく演じていて、箸休め的な良いお役です。
結果的に火中の栗を拾うことになったディミトリ。
愛する妻と我が子、そしてジョージアを守るために二重スパイを働いたディミトリに帰る場所はなかった…あぁ。
ジョージアにホラズムの内情を伝書鳩で知らせた事が露見したときには、毒入りの飲み物を飲み下したディミトリの体は…
あぁぁぁ。。。。
ディミトリは、ホラズムの帝王の胸の中でしずかに息を引き取りました。
ことせお!! 名場面!
リラの花は、ずっと静かに歴史を見守っていて 春に咲き、秋に散るを繰り返しています。
そんなリラの木にむかって、歩みを進める今は亡きディミトリ。
こっちゃんの後ろ姿に、愛する人のために尽くし切った王配としての生き様とひとかけらの哀愁を感じて、胸が絞られるようです。
後ろ姿に幕、は胸キュン案件ですね^^;
原作では、人物像の描き込みが浅いのですが、生田先生が素敵なセリフで命を吹き込まれ、どのキャストも愛しいほどに、それぞれのお役を生きていて素晴らしい作品に仕上がってました!
11月24日がマイ初日、観劇は後1回、配信も時間が許せば観たいです。
ご参考まで… ↓