ヨーロッパでは新型コロナウイルスの影響を受けた文化・芸術活動に対して、政府が手厚い支援をしているそうです。
芸術は「産業」として捉えているからなんですね。
ルイ14世が創立した王立舞踊アカデミーから現代までバレエの歴史の深いフランスでは 文化芸術関連の雇用は130万人ですって!
フランス政府は 芸術分野で働く人への救済策を発表したそうです。
ドイツでは、メルケル首相が「文化的催しは私達の生活にとってこの上なく重要だ」として文化的環境を維持することが政府の最優先、と述べられたそうです。
170万人が 文化芸術関連に携わり、そのうち45%がフリーランスや自営だそうです。
日本でも、舞台関連のスタッフはフリーランスが多いと以前の新聞記事で読みました。フリーランスは、自分で自分の面倒をみないといけないので大変です。
ドイツ政府が資金援助する文化機関の公演に出演予定だったフリーランスの人たちに報酬の4~6割を支払う事を決めたそうです。
イタリアでも舞台中止による損害を救済する策が取られているようですが、日本は…?
5月28日の朝日新聞夕刊に英国ロイヤル・バレエ団でプリンシパルを務めておられる 平野亮一さんのコラムを読みました。
イギリスでは、舞台がキャンセルになった今、給与の8割を補償する雇用維持制度があるため、お給料は国が補助して払ってくれていて普段の8割に下がってはいるものの、ゼロではないそうで 生活の心配はないですね。
怪我をしてもいつもどおりのお給料がでるよう 立場は保護されているそうです。
アーティストや芸術団体を対象にしたアーツ・カウンシル・イングランドの緊急支援や、自営業収入支援制度などもあり、日本より進んでいますね。
日本では、公的機関による芸術分野への支援はどうなっているのでしょうか?
文化庁のHPを見ても「文化財保護」や「伝統文化の普及・継承」に補助金は出ているようですが、舞台芸術は、芸術祭賞の賞金ぐらいでしょうか? 賞金大賞:60万円,優秀賞・放送個人賞:30万円,新人賞:20万円。
一時金ですので、祝い金というか お小遣いみたいなものですね。
新型コロナウイルスで、日本でも宝塚歌劇の他にも多くの舞台、公演がキャンセルになり、公演に携わるスタッフの窮状があちらこちらで叫ばれています。
舞台裏で支える 音楽、照明、衣装などのスタッフの人数は、表舞台で活躍される舞台人以上に多いのではないかと思います。
が、政府はPCR検査の拡充や 業績悪化の企業の支援策に手一杯で、とても文化芸術にお金も意識も回ってないようです。
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
日本国憲法 第25条
文化的、って書いてます!!
衣食住の生きていくための最低限の生活保障に加えて、心の潤いとなる芸術・娯楽は必要なのですが。
一本の名作舞台を観るよりも 一個のパンが飢えた人を救う、と言う理論で 芸術が後回しにされているのかも知れませんが 劇場の灯が消えて久しいです。
劇場やホールも、そこで働く人達がいて、経済活動をしていたのに、他の企業のように救済されないなら「日本は芸術を軽んじている」と言えるのではないかと思います。
クラウドファンディングなどで支援の基盤などを作っていけるといいのですが。
心を豊かにしてくれる生の舞台が観れる日常が戻ってくることを夢見ています…
【追記 2020.6.7】
令和2年度 文部科学省がコロナ対策として 第二次補正予算(案)を出しています。
文化芸術・スポーツ活動への緊急総合支援として580億円。
これは文化芸術・スポーツに携わる人達の生活支援に当てられるものではないようです。