客入りがいまいち良くないとか チケットが売れてないとかいう最近の宝塚の公演ですが、これはコロナのせい、ということでOK?
コロナで公演中止がありましたが、7月から再開しました。
大劇場公演は、
月組 ピガール狂騒曲
宙組 アナスタシア
どれもとても面白くて、時間とお金と事情が許せば、何度でも観たい作品ばかり。
せっかく、いい作品なのに、一席置きの市松配列は止めたのに もったいないわ…
ピガール狂騒曲もアナスタシアも路線の95期がオジサマ役
ピガール狂騒曲は、ポスターが出た時に、えっ…?
となったのは、たまきち(珠城りょう)が、女性っぽい??
原作がシェークスピアの「十二夜」だから…やっぱり女性設定なの??
まさか・・・?と ザワザワしましたが
もう一つのえっ?は、美しいれいこちゃん(月城かなと)がニヤリ、とニヒルな笑い、そしてお髭。
もしや、宝塚のオリジナルにして、オリジナルらしくない作品なのかな?とちょっぴり心配も…
ま~わる~ 回る赤い風車のムーラン・ルージュの支配人役。
喋り方(台詞回し)がオジサン風味。
路線の男役は、かっこよくてヒーロー感のある役が多いのが普通ですが、今回は、年嵩の役でれいこちゃんファンはどう感じておられるかわからないのですが
私は、すごく素敵だな、と思いました。
劇団員を大切にして、ムーラン・ルージュを守るシャルルが、後半、満天の星を見上げながら歌い上げるナンバーが胸にしみました。
女心とは、をジャンヌに教えてもらったのを、早速ひとに受け売りでエラソーに言うところなど、コミカルな部分もあって楽しかったです♪
見た目がかっこいいからと言っても かっこいい役、だけじゃ物足りない。
中堅になり、トップ路線なら、役の幅を広げるためにも役者として 深みのある役をやっていただきたい。きっと今後につながると思います。
そう言えば、役替りがありましたが、雪組の「ファントム」で 95期のあーさ(朝美絢)も、オペラ座の新しい支配人 アラン・ショレを演じた時、あの美しいお顔を封印して? ちょっと不格好な鬘をつけて、癖のある喋り方、歩き方までオジサン…それも、とっても嫌味なオジサンを好演してました。
芝居心があるな~と感心してみてました。
見た目は、シャンドン伯爵の方が素敵に決まってますけど!
こういう老け役が来ると言うのはチャンスですし、それをキャスティングした、演出家もグッジョブ、ということになりますね。
実際、ピガール狂騒曲は、演出家の原田諒先生が「ピガール狂騒曲の脚本・演出」で文化庁芸術祭賞新人賞を 月組が優秀賞を受賞しました。
シェークスピア喜劇「十二夜」の枠組みを、ベル・エポックのパリのレビュー界に匠に落とし込んだ。主演男や樹が二役で挑んだ兄妹を初め、レビューを取り巻く人物たちの軽妙な演技を十分に引き出した演出が印象に残る。宝塚歌劇の源流にあるレビュー文化に深い敬意を払いつつ、自立するヒロインの造形に現代性を込めた脚本も高く評価したい。
文化庁芸術祭賞 受賞一覧より
アナスタシアは、ブロードウェイ・ミュージカルなのでそもそも番手無視
ブロードウェイ・ミュージカルの「アナスタシア」は、ウィーン・ミュージカルの「エリザベート」のように、タイトルロールが女性です。
それを潤色で、うまく男役を主役に置き換えて、宝塚のスターシステムに合わせるのが演出家のお仕事の一つですが…
アナスタシアは、本来ヒロインですけど 宝塚では、ディミトリの「相手役」。
2番手役は、ボリシェビキのグレブか、偽物貴族のヴレドか?
が、ヴレドはオジサマ役なので さすがに2番手にヴレドは無理、ってなったのでしょうか?
キリッと軍服が似合う2番手のキキちゃん(芹香斗亜)は、歌唱場面でも引き込んでくれますが、
なんといっても軽妙な芝居で笑いをとり、出番も断然多いずんちゃん(桜木みなと)演じるヴレドが目立って、美味しいお役ですね。
こういうのを観てると、生徒の持ち味を知り尽くした宝塚の演出家が、うまくスター・システムに当てはめて書いたオリジナル作品を観るほうが ヅカファンにはストレスフリーですが。
今回、ヴレド役をずんちゃんがメガネのツルを持ってメガネをかけ直したり、アナスタシア(星風まどか)が歌う場面で、ほぉ~っと感心したように前のめりになってる姿、
や~れば出来るさ~と 3人で歌った後に イテテテと腰を押さえて、「老体」を演出するところも 台本通りなんでしょうけど 面白くて…
こういう役は、さすがに2番手にはさせられない、というね、
それで95期のずんちゃんに回ってきたんですね。
今回のお役は、かっこよくないけど、とても素敵な役だと思うのです。
ずんちゃん、夏には「壮麗帝」を演じてましたが、この落差にヤラれますね^^
振り幅ひろいお役を体験するのは とても勉強になると思います。
お役は自分からは取りにいけませんから、これもキャスティングした演出家の稲葉太地先生のグッジョブかしら?
印象に残るのは悪役と意外なお役
もう卒業された方で、ずっと貴公子のようないい役ばかりされてた方がいらっしゃいましたが、あまり印象にのこらなかったです。
数少ない個性的なお役は、すごく印象に残っています。
2番手は、男の友情を描く親友か、ライバルなどの悪役が多いですね。
すごく印象に残るので、2番手時代が長いほうが、ファンを獲得できる、というのも、こういう理由もあるのかも。
以前なら考えられなかったキャスティングですが、演出家のチャレンジ精神を感じました。
そして おふたりとも 楽しく笑わせてくれて、どちらも楽しい作品になってますね。
これからご覧になる方は お楽しみに~♪