宝塚ブログ 心は青空♪

夢の世界☆宝塚のあれこれを語ります♪ 5組観劇派

天真みちる著「こう見えて元タカラジェンヌです」読了|こんなタカラジェンヌ人生も…大成功♪

トップスターでなくても。退団後の人生の成否は本人次第

花組のたそこと天真みちる著「こう見えて元タカラジェンヌです」読みました。

f:id:kokoro-aozora:20210825213934j:plain


表紙の写真が、「はいからさんが通る」の牛五郎のお写真とは、斬新なっ!っておもったんですが、牛五郎に対して、たその思いが並々ならぬことがわかる件がありますので、読めば納得です^^

でも、多くの一般ピーポーの抱く「タカラジェンヌ」のイメージを大きく逸脱しているのは事実で、そういう意味でもインパクトあるし、非常にキャッチーな表紙となっております ^^

 

2018年10月14日宝塚歌劇団を退団。

1年後の2019年10月には、翌年1月に上演される

「RED&BEAR〜クィーンサンシャイン号殺人事件〜」(七海ひろき主演)で脚本を担当されました。

 

同じタイミングでcakes(ケイクス)で、「こう見えて元タカラジェンヌです」を連載。文才があるんですね。

面白くて読みやすいです!!

 

いよいよ今年4月に書籍化。

「観たくなくてもあなたの瞳にダイビング。元宝塚歌劇団花組の視線ドロボウ」、たその爆笑必至の作品。

 

さらに、ヅカファンとしては興味深い音楽学校での出来事や、あの公演、この公演、スターさん達とのエピソードも盛りだくさん。

巻頭のご挨拶から巻末のご挨拶まで、宝塚の公演のように 二幕三十三場、全編楽しめます!

 

宝塚をご存知無い方が読んでも、ほぉ~そうなの?
知ってる人は そうそう、とか、へ~知らなかった!と反応しながら読めます。

 

第一幕、入団前

2003年、初受験 敗北を喫す。
2004年、2度目の受験で合格。
1次試験合格までもエピソードたっぷりですが、2次試験の様子は、「京都観光を兼ねて付き添ってくれたおばさん」とともに、安ホテルでの一件や、試験当日の様子がコレまた面白いおかしく書かれています!!

 

入寮当日

お布団を用意してなくて、慌てて買いに行く、っていうドタバタもすごいです。

この時に、Dr.コパ監修のお布団しか売ってなくてそれを買ったのがよかったのかも…?


入寮の手引(そんなものがあるかどうか知らないが)に、用意するもの、必要なもの、としてお布団一式は書いてなかったのかな?^^;

 

男役なのにちょっと髪長い、と分担さんに指摘されたが、スケジュールぎちぎちで美容院に行く時間がない~!!

自分で「鏡も見ずに」工作バサミで前髪に真横からハサミを入れたたそ。
その後の悲劇に、救世主現るっ! イマッチこと、真瀬はるかさん。彼女が前髪をきれいに整えてくれたのでした…^^

大胆さ故に、してしまう失敗も救世主は必ず現る!

 

芸名の由来 

同期で同室の花織千桜が通っていた天満バレエ教室発表会を一緒に観に行って。

天満っていいな…
Dr.テンマ(MONSTER)→天馬博士(鉄腕アトム)→てんまみちる これだ!!

因みに、みちるは本名だそう。

芸名が被った時用の第二希望は、姫条まどか(ときめきメモリアル)に傾倒していたから 希城みちる(きじょうみちる)に。
93期に 似たような音の輝城みつるくん(元月組)がいますね^^

 

初舞台のラインダンス

団体芸なので一糸乱れぬ統一感が重要なため、足の高さ、身体の向き、角度を厳密に合わせるとな。

よくスカイステージの初舞台特集で観ますが、厳しいですね…皆さんすごい!


92期のラインダンス振付は、足上げ回数多いのが特徴の御織ゆみ乃先生。
2分30秒で41回足上げ~?? orz
そして チェイサー。 

前に倣えで、銀橋を捌けていくあの動きのことだそう。

あれに名前があったとは。
連続足上げの後、最後の最後にあれ。

一刻も袖に入りたい気持ちを抑えつつ、にこやかな笑顔を絶やさず腿上げしながら行くのは、毎回すごいな~と感心してるのですが・・・

1人ずつ捌けていくので…最後に捌ける生徒さん、体力勝負。

運命の組配属式

90周年運動会のときに、最下級生として92期が組長の夏美ようさんが「花組に来ないか?」と耳元でイケボで囁いたという…w

う~ん、たそ、この頃から花組組長のお眼鏡にかなっていたということね!

たそ爆誕秘話

愛称はもともと本名から「うめちゃん」と呼ばれていたけれど、すでに「うめちゃん」(陽月華)がいらっしゃったので かぶるのはダメ、と同期の煌月爽矢が「うめたん」を編み出したのだそう。
はネットではタって書くのが流行っているらしいよ!という情報をもとに、うめタン(たそ)と書いて提出したところ…宝塚乙女には 「うめたそ」と記載されていた…
アイデンティティのうめが消え去り たそが残った…という、なぜ「たそ」?っていう疑問が気持ちよくクリアになりました!

 

第二幕 入団後

春野寿美礼主演ファントムで

早変わり(衣装替え)タイムリミット2分50秒。

靴を脱ぐのを忘れw 衣装が絡まって時間を無駄にする…無理!ってなったところに4人もの衣装部さんが駆けつけて着替えさせてくださって。残り15秒で花道へダッシュ! 手袋忘れた~万事休す、と思いきや衣装部さんが手袋持って追いかけ来てくださって。
「トップスターさんでも4人がかりで着替えさせるなんてなかなかない、大物や」と言われたそう。
さすがたそ。

こうやって宝塚の芸のスキルは継承される

シャンドン伯が歌う場面で後ろを踊りながら通過する役で、春野寿美礼さんが、花屋の陰から観ていて課題をくださったそう。
そうやって 上級生が下級生にテクニックを伝授して 100余年、宝塚の伝統美は受け継がれていくんですね~!

巨匠・小池修一郎先生との出会い

初舞台「NEVERSAY GOODBYE」「アデューマルセイユ」などで小池修一郎先生と出会いました。
下級生は背景や環境をリアルに生み出すことを担っています。

小池先生からは、たくさんのアドバイスをもらったそうです。

 

蒼いくちづけ 

レンフィールドと言う役替りのお役をもらったたそ。

Aパターンの真瀬はるかは、小池先生から「完璧です。出来上がっているのですぐにでも本番を迎えられる。」と高評価。


とてもあんなふうにできない…と心折れかかっていたたそに、(主演を務めた)朝夏まなと、望海風斗さんが個人的に練習をみてくださった、と。

朝夏まなとは2人での掛け合いに何度もつきあったそうです、流石まぁ様!!


最後に小池先生が、 

絵に例えると、真瀬はテクニックのみで抽象的 たそは輪郭から描くので何を描いてあるかわかるけど それだけ。 真瀬と天真足して二で割ったらいいのに、と言われるまでに!

 

外伝ベルばら通し稽古

体調不良でお休みの上級生のかわりに代役を務めて…植田紳爾先生にダメ出しを食らったたそ。

初日の総評で、植田先生から「代役だったのか 面白かったから本役だとおもって普通にだめだしたわ。」と芝居を褒められたのが嬉しく 先生に自分の存在を認めてもらってやる気に火が着いたのだそう。

 

2011年3月11日 東日本大震災の日のこと

もう、熱いものがこみあげてきて 涙なしには読めません…
公演を続けていいのかという思い、でも多くの人の心に灯をともした宝塚。
不安のなか、幕が上がると割れんばかりの拍手。
なんて温かい空間なんでしょう。
今、震災ではないですが 地球規模のパンデミックに襲われています。
どうか、困難な中の、演劇の灯火が消えませんように、祈るばかりです。

初センターゲット!!

人気のショー「EXCITER!!」再演。 

ついに、ショーでもモブ脱出。
全員で歌う時や、複数名のコーラスの場合は稽古場の机に譜面が置いてあり、各自自分で取りに行くのだそう。
たそは、助手の先生から直接封筒を手渡された…ということは、ソロ歌唱がある、ということ!!


ミセスミッチーBのたそがチェンジボックスに入ると美しいミセスミッチーA(月野姫花)に変身するシーンですね。


ソロ歌唱のある人は最前列に並ぶならわし。

稽古場で初めて 壮一帆、愛音羽麗らスターさんと同じ長椅子に座ることに^^
それを観た トップの真飛聖さま、「おお!!何? たそ、シンガーじゃん」
く~~っ!! ゆうさん、素敵~!!
スタンドマイクをセンターに置いてアロハ・オエを歌う…トップ様だけに許された0番センターに立ったたそ。感涙。
稽古場でも、スターさんたちが「どセンターじゃん!すごいじゃん!」と 盛り上げ、下級生がのびのび演じられるように環境を整えてくださったそう。いい話や~~~(泣)

 

「あなたは頑張っていない」 面と向かって言われた話

蘭寿とむさんが新トップとして来られ、顔合わせも兼ねた下級生との打ち上げがあった時のこと。
何か質問しなくてはと「私ってどう思いますか?」と答えにくい質問をしたんですね~w

その時に言われたのが 上の言葉。

真正面から頑張ってない、ってトップさまに言われたらガーン…ですよね。

「あなたがもっと頑張ったら、私はあなたを抱きしめる。」

抱きしめてもらうためにw頑張るしか無い、と心に決めた瞬間でした。

 

演劇の授業

柴田侑宏先生、紫苑ゆう先生ら 総勢5名の先生から演劇論、エチュード(即興劇)、演劇メソッドを教えてもらっていたそう。
シメ先生の授業で「我愛は山の彼方に」の朴秀民とチャムガの掛け合いを稽古。
朴秀民役をシメさん(紫苑ゆう)が担当されることに。 

始めるね!と明るく言った直後!! まだセリフ一言も言ってないのに!!

稽古場の空気が一変、すべてシメさんのものになって オーラが伝わってくる! セリフの一言一言がしっかりと胸に届いてこれがトップの芝居なのだと、身を持って感じた瞬間。

 

明日海りおとの出会い

音楽学校時代 想夫恋での研3の明日海りおの芝居を観て圧倒され、3年後、果たして自分がこれほど演じられるのか??と思ったそう。

芝居の役、曲、ダンス、表現の理解力が素晴らしい。明日海さんに必要とされる人になりたい…目標が定まりました。

 

新公を卒業すると 新人公演で、本役のアレンジを演ったり、違うアプローチで挑むのと違い、0からの役作りが必要とされるので「尊敬される本役さん」にならなければ。。。と頑張ったそうです。

おじさん役者への道 ビジュアル編

肌のくすみ、眉毛、もみあげ、無精髭、剃り残しの描き方←w 芸が細かい!!
白髪の入れ方(貼るまたは描く)、顎の割り方w あごひげを貼る位置、麻呂眉。

すごい!! ここまで研究して、あのリアリティが生まれるんですね、天晴!!

 

カフスボタン懐中時計などのお店情報も、専科さんと共有するまでにっ!!^^

源氏物語 右大臣

爆笑でしたね~w

もしもし?起きてますか?っていいたくなるような、薄目w

(演じているときは、セットとかよく見えなかったらしい…)


たその丸い目では、和モノの切れ長目はメイクでは難しいから 半目対応する術を編み出した!!
楽屋に来られた雪組の奏乃はるとさんにどうやってるの?と聞かれ、薄目で…と白状。
当時雪組トップの早霧せいなも 振り返って「すごいじゃない!!」と^^

 

「よく見せようではなく どう観られようが私は私だ」とすべてを受け止めたたそ。

 

作り手の意思をくんで演じるだけでなく、自分でイチからつくったらどんな世界ができるんだろうと、演じる側から創る側へと興味が移っていったのだそう。

正塚晴彦先生に、「スターダム」千秋楽の後打ち明けたら、背中を押して下さったそうです。

ジェンヌの終活

はいからさんが通る」が大好きで牛五郎を演じてみたかったたそ。
「はいからチームに入れてください!」と花組Pに直談判に!

はいからチームに振り分けられ、集合日、香盤表を見て みごと牛五郎役を勝ち取り快哉を叫んだそうです^^

 

光月るうさんに相談

ちなつ(鳳月杏)とまりか(鞠花ゆめ)に感想を伝えに、楽屋に来てたるうさんに相談したいことがある、というと、その日のうちに席をセッティングしてくださって…

たそが花組で中間管理職の立場でどうしたらいいか悩んでいたら、

自分が辞めても 誰かが担っていくし 公演も続いていく、自分はどうしたいのかをちゃんと考えたほうが良い、とアドバイスをもらって…

だんだんと宝塚人生の最終章に向かって行ったんですね。

ポーの一族終了後に退団決意

ポーで、思い切り嫌なヤツのお役を演じて、みずから葬り、もう思い残すことはない、と花組プロデューサーに退団の意思を伝えに行ったそうです。

ラストデ-タイムテーブルも興味深い

21時フェアウェルパーティー開始(遅い…) 

23時終宴 

24時に向けてカウントダウン

お手伝いの同期に日付が変わると同時に「OGの世界へようこそ!」と祝ってもらえたそう。


宝塚音楽学校の秘密

掃除分担

宝塚には多くの伝統がありますが お掃除場所の分担は、よく語られるので有名ですね初めて知ったのですが 男役のみ引き継げる、中学卒業時に合格した子のみが引き継げる 身長が○センチ以上の生徒、とかなり細かな指定があるそうです!!

昨年、宝塚音楽学校の不文律撤廃のニュースが流れました。

掃除場所をお当番制に変えると発表になった時も、生徒たちから反対意見が出たのも、自分が将来トップスターを輩出した場所担当なら、掃除場所を譲りたくないでしょうね。未来を予想して嬉しくなるのが掃除場所。

あの先輩もここを掃除されてたんだ…と思うだけでモチベーションUP!

 

音楽学校の試験

前期・後期(中間・期末)3回試験がある
声楽(調音、クラシック、ポピュラー)、クラシックバレエ、モダンダンス、タップダンス
選択楽器、演劇 日本舞踊の7科目プラス何種類かの課題
試験期間1週間 各科目の合計点で順位がつく

器楽は3種類(ピアノ、三味線、琴)から先生が試験結果を観て振り分け、2年間同じ楽器を学ぶそう。

 

ジェンヌさんの話題

92期生は90周年の宝塚運動会に参加

ちなつ(鳳月杏)が「椅子取りゲームが得意なんだよね」と言い出す。

「一度も負けたことない、だから私、優勝するかも」、とまで。「勝っちゃっていいかな?悪いけど本当に勝つかも?」と豪語。

音楽学予科なのに!!ちなつ、ツヨ。

最後の椅子の奪い合いに 勝つ気満々のちなつが負けて戻ってくる…ちなつに励ましの言葉をかけると…
「勝てたんだけど、私が優勝したら、周りが気まずいかと思ってここらへんでやめておいた」 ( ゚д゚) す…すごい・・・大人・・て言うか器が大きい!

…たそは「王」と表現してます。^^

 

演劇の試験 モノローグのセリフ

必死でセリフを覚えた、たその前に大澄れいちゃん。 

微妙に語尾や接続詞が違う。せっかく覚えたセリフが、違ったセリフで上書きされていく…ああぁ~となって 最後はここ(ハート)よ、と開き直って、自分なりに脚色して言ったら、成績が3番だった!! 

大澄れいちゃんのおかげ♪

 

真飛聖 トップお披露目「愛と死のアラビア」 

真飛聖お披露目公演の舞台稽古。

袖で陰セリフを言いながらゆうさんと登場する役。

ピンマイクをあてがわれておらず地声を張り上げてたら ゆうさん(真飛聖)が、「マイク持ってないの? コレに向かっていいな」、と自分のピンマイクを外してたそにさしだしてくださったそう。その上、音響さんにも指示出し。

これからは、なかったら自分で申請するんだよ、とも。

かっこいい~、惚れ直すわ、ゆうさん♥

 

龍真咲 たそを褒める

EXCITER!!終演後 廊下を歩いていると 後の月組トップの龍真咲さんに突然呼び止められ 名前なんて言うの?と聞かれて…
他の組のスターさんに話しかけられるのはほぼ初で、半パニックで て…てんまです。と。
「天真ね、あなためっちゃ良いね」と褒めてもらえたんですって。

ええ話や~
他組のスターさんの目にも止まっているってすごく嬉しいですね。

 

以前、スカイステージの2018年年末の特集で、各組のトップさんがこの人は、と思う生徒に自分の名前のついた賞を上げてました。

 

花組の明日海りお様と宙組の真風涼帆は、他組の生徒さんに上げてました。

組子に忖度せず、自分が良かったと思う生徒に賞をあげる お二人、天晴と思いました。

 

いや長文になってしまったわ。

他にも、熱いエピソード満載なので、是非読んでみて下さい!!

 

PRESIDENTなど メディア各社からも取材され、テレビ朝日の「激レアさん」にも出演を果たし、「元トップスター」の肩書がなくてもバンバンお仕事しているたそ。

これからも、多彩な才能を余すところなく見せていただきたいです!!

 

長らくお付き合いありがとうございました。 6600文字w