星組公演『Le Rouge et le Noir ~赤と黒~』
2023年3月25日 16:30公演を観てきました。
こんな作品、作れるんだ!劇団と谷貴矢先生の本気
いろんな持ち味の生徒さんがいらっしゃいますから、宝塚歌劇団も歌上手ばかりではありません。
「夢の顔合わせ」のような、歌唱力の高い生徒さんを集めたカンパニーで観てみたい、と思った事はありましたが、
実際、実現不可能なのはわかっているので 夢で終わってたのですが…
谷貴矢先生がやってくれました!
トップコンビを一時的に解散してまで実現した、歌上手少数精鋭メンバーでの公演、
しかも!! フレンチミュージカル!!
歌上手揃いで聴き応えたっぷり、本当に素晴らしいステージでした。
大阪公演、トップさんの公演にしては小さい箱(898席)で、14公演。
超チケット難で、もう諦めていたところへのお声がけ、本当にありがたかったです!
Thanks a lot, Emily♪(私信)
トップコンビを一時的に解体、というのは今までの星組でもありましたが、歌唱力に特化したカンパニーを作って上演、というのは画期的なことのように思います。
『Le Rouge et le Noir』の上演は、いつから決まっていたのかはわかりませんが…
昨年、名古屋・御園座公演の『王家に捧ぐ歌』で素晴らしい歌唱を披露した礼真琴と有沙瞳。
お二人はトップコンビではないものの、素晴らしいデュエットを聞かせてくれました。
その時に、純粋に歌上手だけで作り上げた舞台を観たい、と思ったんです。
それが、1年後に実現するとは…
素晴らしい作品を創ってくださってありがとうございます。
礼真琴の歌唱力がカンパニーを引っ張って
振り分けを、ひと目見て、歌上手さんが多く投入されていることに気づきます。
みなさんお上手な方ばかり。
それでも、こっちゃん(礼真琴)の芯のある力強い歌声が皆の歌唱をリードして、より高みに向かって引っ張り上げている感じがしました。
決して大柄でないこっちゃんですが、舞台で存在感の大きさを感じさせるのは、確かなパフォーマンスがあるからだと思っています。
とにかく こっちゃんの声がビンビン響いてきます。
矢を射るように、まっすぐにこっちゃんの声が鼓膜に届く、響く、心が共鳴する。
ロック調歌唱をものにしているのは礼真琴ぐらい?
普段の歌い方とは全然違うロック歌唱。
パワフルでダンザブルな曲を難なく歌いこなすこっちゃん。
そして、満を持しての上演決定
『1789 バスティーユの恋人たち』(予定)
見事にフレンチミュージカルに魅入られている礼真琴。
あれだけ見事に歌いこなして、芝居を確かなものにしているこっちゃんだからこそ骨太のフレンチミュージカルができるんですね〜♪
柴田侑宏演出版とは全く別物の『赤と黒』
スカイステージの『ナウオンステージ』でお話されていたように、音楽の中にお芝居がある、という感じ。
柴田先生の『赤と黒』には聖職者が大勢登場していましたが、今公演は一切なし。
月組公演は、36人と出演者も多かったです。
今公演はオンブル(影)というお役のみなさんが、場面ごとにいろんな役割を果たしていますし、舞台装置や小道具の移動も担っていて、上手な使い方だな、と感心。
セットの奥、まさに影(オンブル)の部分で、小芝居をしたり、リズムを刻んだり、とそれぞれ動きがあります。
『双頭の鷲』(宙組・植田景子演出)や『グランドホテル』(月組・岡田 敬二、生田 大和演出)などは、
芝居をしていないときも、オールキャスト舞台上に出ていますが、観てるだけ〜な状態でもったいない使い方でした。
『グランドホテル』は、厳格なブロードウェイミュージカルで、演出の変更は無理らしいので、仕方なかったとは言え…orz
中でも一番の違いはジェロニモ!大活躍です!
ストーリーテラーで、時々 歌手、として芝居の中にも登場するジェロニモ。
月組から来た、という修飾語はもう必要ないぐらい星組に馴染んでいる暁千星が好演。
いや、好演、なんてすまして言うんじゃなくて…
すご〜〜い!!大健闘!!大活躍!!
です。
幕開き、まだ舞台も客席も温まってない時に登場して、最前列のお客さんとのやりとりは、かなりハードル高いだろうと思うんですが、頑張ってます。
歌って、踊って、芝居して、その芝居というのが、ジェロニモ。
狂言回し故に、独特のセリフ回しですが、それがまたいい!
礼真琴ジュリアンとの芝居も、大先輩相手に堂に入ったもの。
ただの語り手だけではなく、道化の部分もあります。
そのせいか、メイクもかなり目の周りの縁取りを濃く描いて、チークも強めに入れて…すこしピエロっぽい感じのメイクでした。
ジェロニモが客席を200年前のフランスにいざなってくれて、ラスト、幕が降りた後に
「如何でしたか?」と客席に問いかけて、ここでは見事にストーリーテラーになっていました。
歌唱も力強くなって、頼もしい!
ジュリアンに心を重ねてしまった…
柴田作品のジュリアンは、下心有りのちょっとダークなジュリアン(演:安蘭けい)だった印象。
かなり昔にスカイステージで1回観ただけですが。
それが何故か、今回、ことちゃんジュリアンと、くらっち(有沙瞳)レナール夫人の狂おしい愛、隠しきれずほとばしり出てしまう愛、というのが痛いほど伝わってきて…
生観劇、ということもあるのでしょうけれど、演出の妙なのかな、と思いました。
レナール家から去って、ラ・モール侯爵家に行ってから(2幕)、展開が早く盛りだくさん。
1幕のヒロインはレナール夫人、2幕のヒロインはマチルダ、ですが、レナール夫人の裏切りや、彼女をを撃ってしまったことで、
ジュリアンは、ずっとレナール夫人に囚われて忘れることができなかったのかな、と。
耳福だけれど、美しい舞台も堪能
加藤真美先生の衣装、美しい。
衣装に使う色は、赤と黒と白に統一されてて、見た目スタイリッシュ。
薔薇の花柄を配した衣装のレナール夫妻(紫門ゆりや・有沙瞳)、
真っ赤でゴージャスな衣装のヴァルノ夫妻(ひろ香祐・小桜ほのか)が対照的。
舞台暗転後、真っ赤な薔薇がびっしりと詰まった花瓶にスポットライトが当たってとてもきれい
薔薇の花弁が天井からハラハラと舞い降りてきたり
お耽美♪
その他キャスト
ツインテールの鬘を付けたうたちゃん(詩ちづる)マチルダが可愛い^^
真っ赤なドレスとタイツと靴。
すごいパンチのある歌唱で、さすが!とうなりました。
カラフルな電飾も、雰囲気をガラリと変える役割。
マチルダがジュリアンと距離を縮めて行くところもいいですね。
マチルダとの恋、レナール夫人との恋だと、後者の方がキュンキュンくるのです。
「不倫」だからかもしれません。
夫に隠れてジュリアンに会い、夫の前では貞淑な妻を演じるくらっちも色っぽくて狂おしくていいですね。
とにかくお歌がうまくて口跡がいいからす〜っとセリフが入ってきて感動しやすい。
こっちゃんの腕に抱かれてすっぽりと入るサイズ感もいい♪
『阿弖流為』の主演コンビ今ここに!と思うと感慨深いです。
ヴァルノ夫妻のひろ香祐&小桜ほのかコンビ、
とにかくお歌もお芝居もお上手で、主演コンビのすぐ下に、このようなできる生徒さんが支えている星組って…
本当に素晴らしい、大事に使って頂きたいですね〜♪
ダンサー枠で入っている 希沙薫(ルージュ)、碧海さりお(ノワール)のお二人。
『ロミオとジュリエット』の愛を演じたふたり、この作品でも、ところどころに登場して見せ場をもらっていました。
なんか…全然まとまりの無い感想になってます、申し訳ない…
明日の配信は…チケット持ってない方はぜひ観てください!