宝塚には、「男役10年」という言葉があります。
女性が男性を演じるのですから、男役さんは、「男役になる技術」を習得しなくてはなりません。
男役道にいかに磨きをかけるか、日々の研究、努力されています。
スカイステージの番組「THE STORY」は、
“型”が出来上がるまでに、10年を要するといわれる宝塚の男役。
そんな10年という節目を経て、充実期を迎えている男役にスポットを当て、舞台人としての魅力を掘り下げる番組です。
目次:
THE STORY、2年も前から放送してたのになぜか全然観てなかったわ。^^;
過去のTHE STORY 出演者まとめ
9人中4人が月組。
月組率高し。
星組は、昨年のぴーすけ(天華えま・98期 退団)から、この度2人目、100期の極美慎くんの登場でした。
⚠️
お芝居で古郡さんを演じることについて
三谷幸喜さんの作品に、自分がこうして携われていることが、ありがたい。
佐藤浩一さんのお芝居は素敵、と思って観ていたので、佐藤さんの役に挑戦させていただいて、役者として引き出しが増えたらいいなと思っています。
現在研11、ある程度自分の男役が固まってきたこのタイミングでちょっと砕けたお役がいただけて嬉しかったです。
参考にしたものは?
古郡はやさぐれた、夢折れてしまっている男。
男役の型にはまらないタイプ。
大道具さんとかの歩き方をずっと見たりしていたそうです。
舞台稽古場面が映り、振り付けで「黄昏感を出して」という声が飛んでいました。
カメラが回っているからか、パワハラ改善されているアピール?
以前の舞台稽古(「ミライ演出家」で観た稽古風景)より、優しく指導されてる感じがしました。私だけかもしれませんが。
礼真琴演じる黒田総理とのお芝居は、より深い部分での関係性を意識して演じているそうです。
人の真ん中にあるものは変わらないと思うので
かつて、いい国を作る政治家になりたいという思いで通じ合っていたのに
転機があって政治家になった人とそうでない人の対比を出せたらいいなと思っている。
ティアラアスール
極美慎くんは、星組を担うスターの一人として活躍中。
今回の『Tiara Azul -Destino-』はラテンショーなので熱く、星組らしく演じています。
みんな熱中症にならないよう頑張ろう、と
礼さん(星組トップ・礼真琴)が冷蔵庫に大量の梅干しを入れてくださっているのでみんなでいただいてます、と語っていました。
冷蔵庫に入れる食べ物の話を聞くと、あの組を思い出してしまう…
極美が大切にしているのは、フィナーレの幕開きを彩るソロナンバー♪
大役をおおせつかりました。
息が上がってる状態で歌っておられるのを幾度となく観てきたが、自分がやってその大変さを身を以て知ったそうです。
(演出の)竹田悠一郎先生と同期。
すごく温かく「この歌詞はプレゼントだよ」って言ってくださったのが嬉しかった。
ショー全体でのカルナバルの雰囲気からフィナーレへ続いていく。
シンプルにお客様の心に何かが届いたらいいなって言う思いで歌っているそうです。
あの極美慎銀橋ソロは、曲がいいし、歌詞がいい…というか意味深…
極美を形作るもの
入団後、組まわりを経て星組に配属され『ガイズ&ドールズ』で初めてお芝居をした時に、
娼婦の人と絡む場面で、娼婦役は真彩希帆さんと綺咲愛里さんでした。
お二人が男役として自分を観てくださるけれど自分は照れが入ってしまった。
リードできるような男役になりたい、とそのときに思ったそうです。
極美の稽古に欠かせないアレコレ
台本・譜面
『記憶にございません!』の台本。
斜線を引くという方法があり、頭が整理されて好きだそうです。
譜面のファイルは、千社札がいっぱい♪
文字を書き込むのはシャーペン派。
フリクションボールペン派もいらっしゃるけど。
参考にしている本
全部は持ってこれなかったので一部です、と7冊ぐらい?
ホントはこ〜んなに(腕を広げて)あるんです、と話してました。
歴史上の人物を演じるときは、その人物に付いて書かれた本を読むようにしてます。
と、「ロベスピエール」の表紙の本を見せてくれました。(ロセッティの本もありました)
世界史をざっと勉強しました、これわかりやすいのでお勧めです。
学生のみなさん!
「世界史劇場 フランス革命の激流」
お? 面白そう、読んでみようかしら??
演技の本は
「演技と演出のレッスン 鴻上尚史」
『BIG FISH』のときに新しい引き出しが見つかればいいなと思って買ったそうです。
公演の都度、いろんなやり方で役作りをしているんですね〜。
役作りノート
役を深め、役として生きるために欠かせないのが役作りノート。
BIG FISH、 ベアタ・ベアトリクスの役作りノートを持ってきてました。
自分の役に関することは、台本のあちこちに散らばっているので、
ノートにまとめているのだそう。
社会的状況、動機、目的、障害…、自分の心情の流れ、舞台に出る前と後で何をするか、なども。
チャレンジ
歳を重ねた人物の説得力がほしい。
古郡は、黒田総理と同じ年代、もしくは少し上ぐらいに見えるようにしたかった。
極美が演じるから「極美バージョン」って絶対思われたくない、と語尾に力が入っていました。
歩き方、目線、ちょっといやらしい感じ、社会を斜めに見てる古郡。
今公演、今までとは一味違うお役で、姿勢も猫背で下から睨め上げるワルな雰囲気が上手いな〜と感じてました。
舞台が締まる役者になりたい、という極美。
男役10年の節目を超えて、しっかりと目標を見据えています。
ショーで自身の変化を感じている
付いていかなきゃという気持ちから、表現しようというモチベーションに変わってきた、という極美。
礼真琴、暁千星はじめ、ダンサーが多い星組で、路線にいる、ということ、
センター付近で踊る、ということで身の細る思いをしてきたのだと思います。
表現しよう、と前向きに捉えられるようになったのも、研10を過ぎて自分に自信がついてきたことの現れですね。
星組の皆さんダンサーさんがこういう空気感で踊ってるんだっていうのをちょっと俯瞰して見れるようになった。
余裕がでてきたというか…遅いね〜 アハハと自分ツッコミで笑うきわみ、可愛い。
これが私のペースなんだな、と。
コンプレックスという殻が破れたらいいなぁと思って毎日頑張っていたそうです。
オフの極美は…
運転が好きでドライブによく行ってるそう。
お気に入りは、 カーデフューザー ディプティック。
スタバによく行くので、スタバのタンブラーも常備。
サングラスは必須アイテム。
どこへドライブ行くんでしょうね?^^
『霧深きエルベのほとり』新人公演
男役として完成した人が崩して演じる役だったから、体当たりしてやるしかないなかった。
自分が5年間で築きがあげた楽しいなって思ったひとつのきっかけにもなりました
男役として見えるためにどうしたらいいかを考えたんですけど、
紅さんがそうではなくてそこも大切だけど、まず本質に戻りなさいって教えてくださった。
役として軸をとる。
今でも悩んだ時、役を演じててわからなくなった時に
本質的なところで見失ってるところはないか考えている。
軸を取る、という学びは大きかったです。(紅さんに)感謝しかないです
ターニングポイントとなったのは2021年ロミオとジュリエット
本公演で大役を演じると言う経験、そして演出家小池修一郎の指導から多くを学んだそう。
「ほんとに自分が今足りてない部分を稽古場で的確に言ってくださる。」
ロミオとジュリエットの時は級生の方々に囲まれていたので、どんだけ体当たりで全力でぶつかっていっても到底叶わない、あの感じが学びだった。
内にこもらずに発散していくことを学んだ。肩の力が抜けて、ステップアップした感覚があった。
ミーマイで娘役に挑戦して
これまでがむしゃらに取り組んできた男役について客観的に見つめ直すきっかけになったそうです。
自分が男役としてこだわってた部分、逆に無防備に舞台に立ってた部分娘役になったときにすごく感じて、
相手から見たらこういうふうに見えるんだと言う気づきが学びになった。
直前に男役ってこうだ、と「極美の男役」が見えたなと思った直後だったので勉強になったそう。
男役が娘役を演じると、相手役の見え方がわかって勉強になると言われています。
成長の一助になるので、時々こういうキャスティングがあるんですね!
自分が意識していることと、周りの方に見えている自分が近くなったことで手応えを感じている様子。
下級生時代は、足りないことが多く焦りもあったものの
研11となり、もうある程度は意識せずともの男役として立てるようになったと思います。
これぞ、男役、ですね。^^
足し算だったのが引き算に変わる転換点が10年なんですね。
マイルール
下級生の頃からこだわってるのは衣装の着こなし。
男役として自分が持っているものが+に働く面と−に働く面があるので、ズボンのラインや肩幅の感じなど、毎回こだわってるのでそんなにこだわり続けたいなと思います。
めざすのは…
こんな役をみてみたい、と思ってもらえる男役。
気がついたらもう11年目で上級生になっていることなることが恐ろしい…
今後も感謝の気持ちと謙虚さを心がけて下級生たちも楽しいって心から思えるように伝えていきたいし、
宝塚にいる以上、終わりはないので、これからも上級生の方々から学び続けたい。
ようやく自分の役割を自覚して
早くから、注目を集めていたのに、華やかな容姿でいいポジションをもらっていながら、
あまりガツガツしてなくて、ふんわり〜♪な感じでした。
個人的な感想ですが『1789』あたりから芯というか役者としての大黒柱がしっかりと立ったような印象です。
『BIG FISH』、私は観てませんが評判良かったし、公演中の『記憶にございません!』では上述の通り、
古郡役の役作り、大成功しているので、今後も一皮むけた男役としてのきわみを楽しみにしています。
まずは、バウホール公演『にぎたつの海に月出づ』。
どんな智積を演じて見せてくれるのか、期待でいっぱいです!