『二人だけの戦場』2023年5月1日11時半公演を観てきました。
良かった〜〜〜!
作品そのものも、出演者のみなさんも!!
ブラボー!!
叫びたい。
一緒に観た友人が、ワタクシが虚無感に襲われた「アレ」の100倍いいね!と。
いや、私も今、それ、言おうと思ってた!!
お金かけた大作がいい作品とは限らない、と痛感!
今日は満たされた気持ちで劇場を後にできました。
目次:
⚠️ネタバレあります、ご注意ください
正塚先生、グッジョブ! 心に響く作品をありがとうございます
宝塚歌劇がいくらビジュアル重視と言っても、内容が伴ってこそ。
かっこいいシーンを盛り込んで、ストーリーに破綻がなくても体裁整えただけでは全然心に響かないし、何も残らない。
『二人だけの戦場』はタイトルからも、ポスター画像からも、暗い作品なのかな、と思っていました。
が、許されぬ愛と、少数民族独立運動が絡み合いながらラストに向かっていく描き方に、引き込まれずにはいられませんでした。
それでいて、くすっと笑う場面もあり、旨味が何層にも重なった味わい深い作品でした。
冒頭の場面とラストの場面が繋がっている、という構成はよくありますが、
この作品も、ここで時間経過したからこそのラスト、ハッピーエンドで、観客側も、ホッとして、温かいものがじわ〜っと溢れてきます。
法廷劇を挟んで進むのも面白かったです。
法廷、と言っても舞台を使わず、上手(弁護人・永久輝せあ)、下手(検事・峰果とわ)が立つバルコニーが舞台端に登場して、立体的に使っているのも巧いな、と。
それにより、舞台上の演技の流れがブツブツ切られることなく、スムーズに流れていきます。
巧いわ〜♪
また、ラストの出演者紹介場面、
普通なら、下級生から順に両袖から現れて一礼をして並ぶ、というところを、
ショー仕立てでそれぞれを紹介していて楽しい趣向でした。
これ、通えるわ、チケットないけど。
花組の別箱、前回の『フィレンツェに燃える』は、心に響かず、ワタクシ的に不発だったので、今公演で、大満足できて嬉しい〜、スッキリ!
軍服の似合いすぎるれいちゃん、シンクレアを生きる!
芝居巧者・柚香光
なんといっても芝居巧者・柚香光、殊勲賞♪
れいちゃんの繊細な演技、立っているだけでも身体からにじみ出る心情。
ダンサーと言われがちなれいちゃんですが、芝居巧者でもありますね。
自然でリアル。
身のこなしが美しいのも特筆すべき点♪
そんなれいちゃんは、またしても白軍服が眩しくて…美しい。
まどかちゃんとの二人の場面が多いですね〜^^
れいちゃんの腕からするりと逃げるまどかちゃんを捕まえてハグするれいちゃん。
キュンキュンがいっぱい詰まった作品なので、癒やされます。
本物の恋人同士のようなシーンが続いて、目が♥
中でも一番秀逸な演技は…
拳銃でクェイド少佐を撃ってしまったあとの演技。
自分のしたことに驚き、呆然。
目を見開き、口もなにかを訴えようとしているものの声にならず、呼吸も荒く…という迫真の演技。
巧いわ〜
シンクレアの影
冒頭のシーンは、高峰潤くん演じる作家が、シンクレアにインタビューに来ていて…
ここのシンクレアは、れいちゃんではなく、シンクレアの影の涼葉まれくん。
REAL-fさんが作られたリアルマスクを付けての登場です。
バレにくいように、紗幕の向こうでのお芝居なんですね。
この後すぐに、士官学校の場面で登場するれいちゃんのために、影武者を使ったんですね^^
またしても羨ましい二人が登場
れいちゃんが演じた『うたかたの恋』のルドルフは、従兄弟のジャン・サルヴァドルと恋人ミリーが自由に恋愛を謳歌しているのを羨んでいましたね。
今回も、れいちゃん演じるシンクレアは、ラシュモア軍曹(羽立光来)と酒場の女主人のエルサが付き合っているのを羨んでいます。
自分は、少佐という立場上、自由が利かないのがもどかしいシンクレア。
まどかちゃん、しっかりものライラ
目に強い光を宿すような、ライラ、一本筋の通った女性。
そんなライラ(星風まどか)が、自分との葛藤に苦しむところは、心を重ねてしまいます。
押さえきれないシンクレアへの思い、仲間への思い…まどかちゃんの熱演♪
友情場面が期待したほど無い、永久輝せあのクリフォード
冒頭の士官学校卒業から、ルコスタ赴任あたりまでは、友人としての絡みも多いけれど、
実際のところ、クリフォードは、情状酌量のために証言台でシンクレアの正義を必死で訴えるのがメインでしたね。
同じ正塚先生の作品『メランコリック・ジゴロ』的な親友の場面は少なくて、ちょい物足りなかった。
クリフォードは、ラストの再開場面で…れいちゃんは年を取って、髪に白いものがまじっているのに、クリフォードの鬘は…そのまま?
まどかちゃんも、落ち着いた女性を好演してます♪
主要キャストの感想を書きましたが、
若手も素晴らしい働きをしていて、発見がたくさんありました。
この正塚作品は暗くない!
さらに、30年ちかく前の作品、となると「古臭い」のか、と期待していませんでしたが、面白かった〜!
正塚先生の30年前、といえば、御年40歳。
今劇団で40歳の先生は、野口先生から生田先生あたり。
一番働き盛りの頃ですね。
バンバンいい作品を書かれていたのでしょう。
ハッピーエンドも…『巡礼の年』を思わせるようなしっとりとしたラストで良かった。
フィナーレもよくて大満足!!
なにより、組子の顔が輝いているのを観てうれしくなりました。
今回の日程短いのが残念ですが、最後まで元気で駆け抜けてくださいね。
その他のキャスト別感想はまた後日。