「ダル・レークの恋」2021年3月15日 11時半公演を観てきました。
うっとり…な世界に酔った「ダル・レークの恋」
先月、東京公演のライブ配信を観て、雰囲気は掴んでいたものの、二次元と三次元の差は…というより、映像と生の舞台の差は比較にならないですね。
わかってはいますが、れいこちゃん(月城かなと)の放つ美のオーラは、眼力の威力は、生でなければ味わえないもの。
劇場に来れない方や、チケット取れなかった方(私もその一人です)には、申し訳ないけれど、語らせていただきます!
ラッチマンが月城かなとの時点で8割方成功している
これ、同じ、演出の谷貴矢先生「出島小宇宙戦争」の時にも、鳳月杏を主演にした時点で8割成功している、と思ったんですが。
主演の生徒の使い方がすごくお上手ですし、それに応えるちなつちゃんも、いい味だしていて、独特の世界を楽しみました。
今回は、初演が1959年、ということで、古臭いのでは?と スカステで放送していても観なかった、という友人もいて…。
古臭い、というより、クラシカルな雰囲気と、カシミール地方の避暑地という物語の舞台が、令和3年の梅田から、異世界へといざなってくれて、作品世界に没入しました。
幕開きから引き込まれる演出♪
ライトを絞った舞台は、モノクロームの世界。
黒いスーツを身にまとったターバンの紳士たちは後ろ向きに立っているので黒一色の中に、れいこちゃんの真っ白の長いターバンが、舞台の中心にまっすぐな線を描いています。
夜霧に霞む街灯が、雰囲気ある、パリの街角。素敵…はぁ…
この場面に登場する娘役さん二人は、おはねちゃん(きよら羽龍)と詩ちづるちゃん。
月組娘役の若手ホープのお二人、大事に育ててあげてほしいです♪
さらなるプロローグは、水の精たちの登場、夢の世界~^^
ダンサーの彩音星凪くんと、菜々野ありちゃんを中心に美しい衣装、ぼんやりと光る蓮のランタンを持って…雰囲気素敵~♪
水の青年と水の少女(彩音星凪・菜々野あり)、彩音星凪くんが、リフトでものすごく回していて、すごいな、と思いました! 何回転したのかしら???
上手で、素晴らしい歌声を披露してるのが、咲彩いちごちゃん(さあやいちご 104期)。
ん? 歌上手のおはねちゃんと同期!?
月組若手娘役、歌上手さん充実してますね!
お母様もタカラジェンヌ(67期・舞希彩)とのこと、楽しみです。
そして、ガラリと変わってシヴァ神の踊り。
今回は、ダンサー・ありちゃん(暁千星)に代わって、おだちん(風間柚乃)。
どうかな?と思ったけど 遜色なし、でした。
ここが、独特のオリエンタル調で、音楽といい、振り付けといい、衣装といい好きなんです。
そして、影ソロに颯希有翔くん、聴かせますね^^
今回初めて、「歌うま」を認識しました。
すべてが、然るべきところにピタリとハマって気持ちいい~!!
颯希有翔くんや咲彩いちごちゃんのように、歌える生徒さんをきっちり使って、適材適所な配役が多数見られて、気持ちが良かったです。
自分の持ち味を存分に活かすことが出来て、生徒さんもいきいきしていて、観る方も楽しく、両得な感じです。
この作品の肝は、ラッチマンとカマラの関係ですから、月城かなと&海乃美月の芝居が鍵。
お二人は、3度目の恋人・夫婦役で、息ピッタリ、雰囲気もぴったり。
れいこちゃんは、存在感、オーラともに素晴らしく、正統派美形。
以前、押出の弱さを気にしていたワタクシですが、不安霧散!
今すぐトップスターOK!な出来上がり感でした。
歌唱も良くなって(口の開き方にダメ出ししたかったけど良くなって 声出てた)ました。
ワタクシの個人的な見方では、ルキーニや「ピガール狂騒曲」のシャルルなど 個性的なお役で、殻を破ったのではと思ってます。
うみちゃんは、誰と組んでも、相手役にしっとりと寄り添える娘役さん。
まさに、娘役の鑑ではないですか?
「グランドホテル」新人公演でバレリーナ役をするほどに、ダンスに定評がありますが、歌唱もよくなって、うみちゃんも仕上がってます、それだけに、月組トップ人事が気になります。
おはねちゃん、ちづるちゃんもしっかりと見せ場をもらっていますし、
れんこん(蓮つかさ 97期)や、まおまお(蘭尚樹 100期)にもソロ場面があって、おふたりとも 期待に応える歌唱ですごくよかったです♪
芝居巧者の風間柚乃にヤラれる!
軽妙なお芝居もお上手ですが、今回は悪役で、ねっとりとした台詞回しや歌唱もいいですね~^^
存在感というか…学年の割に老成している安心・安定感があります。
堂々とした舞台姿は研7とも思えず。
「出島小宇宙戦争」でも、シーボルトを好演してましたから、谷先生の覚えもめでたい感じ♪
どんなお役でも、風間柚乃、という味付けをすれば、すごく納得の役作りでリアリティでますね。
もっと違う役を観てみたい!と思わせてくれる役者さん、頼もしいです。
役替りでお役繰り上がり
東京公演でペペルを演じたありちゃん(暁千星)が美園さくらちゃんのミュージックサロンに出演するので、
ペペル 暁千星 → 風間柚乃
クリスナ 風間柚乃 → 夢奈瑠音
金の男 夢奈瑠音 → 蓮つかさ
金の男を演じたれんこんは、ラッチマンの父でマハラジャのハリラムも演じていて。
老け役で、歩き方や所作もよく研究しているのでリアル。
かと思えば、港町の祭りの場面では、酒場の亭主として、オレンジ色のターバンを巻いて、一曲ソロがあるのですが、お上手でした~!
二幕冒頭は、7年前のパリ。
れいこちゃんが、黒のスーツに白いタイをかけて 歌う場面も雰囲気があって大好きです。
ここは、歌上手の100期、桃歌雪ちゃんが影ソロを務めてます。
下手くそがいない、耳福な公演でした♪
身分違いの恋が切ない
純粋な愛する気持ちを、マハラジャのお姫様だから封印しなくてはいけない、
身分違いの恋というのは、いつの時代も 愛の炎を掻き立てます。
反対されればされるほどに燃え上がる愛…でも カマラは、おばあさまに言われて、本心にも無いことを言って、ラッチマンに別れを告げるのですが…
ラッチマン、実は、お祖父様・チャンドラ・クマールの恩人で、ベンガルのマハラジャの息子だった…
と知って、今まで、ラッチマンを蔑み、無礼な言動をしたことに慌てるクマール家の人たち。
クリスナの妻のアルマ役の夏月都さんが 華麗な掌返しをして笑わせてくれます。
今更ながら、引き止めても カマラが愛した軍服を脱ぎ、軍隊を辞める、と立ち去ったラッチマンに、会うことは 二度と叶わなかった…fin.
あぁ…
フィナーレ
風間柚乃くんからスタート。
なかでも、若手のための場面が、若いみんなが見せ場をもらっていて笑顔はじけて、とても楽しかったです。
客席も手拍子で応援、舞台も客席もノリノリでした!!
最近、新人公演を中止してたから、積極的に若手を抜擢している印象です。
本日、宝塚歌劇公式HPにて、月組公演「桜嵐記」より新人公演が復活するようです。
良かった~!
舞台人は、舞台経験を積むことが大切ですから、新人公演で、本役さんからアドバイスをもらったり、より大きいお役に挑戦したりすることはとても勉強になるので ホッとしました。
生徒さんだけじゃなく、演出家はじめとするスタッフさんも、経験の場が増えてよかったです。
一緒に観た友人と、ベタ褒めしつつ、余韻を楽しんでいました。
バックに広がるダル湖の水面の揺らめき、ぼんやりと空に浮かぶ満月、夜霧に煙るパリの町並み、紗幕に投影される水滴の動きなど、視覚的にも楽しめ、
豪華な衣装や装飾にもうっとり…
文句なしの作品でした。
後、1回観る予定です、幸せ~♪