宝塚ブログ 心は青空♪

夢の世界☆宝塚のあれこれを語ります♪ 5組観劇派

雪組団体芸・壬生義士伝

ぐすぐす…スンスン… 客席のあちらこちらから。

 

心の深い所にず~んと鉛玉を撃ち込まれたような 気分になり

そのあとから あとから お芝居の余韻が繰り返し押し寄せるような

そんな作品でした。

 

私は それとは別のところにも興味があったんです。

 

映画「壬生義士伝」には登場しなかった女性 両替商の娘・みよやビショップ夫人はなんだろう?

って思ってたんですが、そういうことか…

 

ネタバレありますので ご注意ください。

 

 

 

 

映画では、明治の御世、 

老いた斎藤一と 吉村の幼馴染、大野次郎右衛門の息子・千秋との出会いから始まります。

医師である千秋の机の上に 写真立てに収まっていた吉村貫一郎の写真に目が止まります。

そこから斎藤一の回想が始まったのでした…

 

宝塚では 幕開けは なんと 鹿鳴館。

芸者や女学生が 慣れないドレスを着て ダンスの練習をしているところから始まります。

中央に 軍医・松本良順(凪七瑠海)、ビショップ夫人(舞咲りん)。

 

松本良順が 明治の御世になって 元新選組の斎藤一(朝美絢)が警部になっていることを紹介。

鹿鳴館の当直医の大野千秋(綾凰華)と看護師の妻・みつ(朝月希和)と対面した際

みつ(←吉村貫一郎の娘)が父も新選組で・・と あの貫一郎の写真を取り出しました。

吉村貫一郎…大嫌いなヤツだったと あからさまに父の悪口を言われてとまどうみつ、

そして 吉村の思い出を語り始めるのでした・・・

 

ここから始まります。

 

出会いの場面は、石田昌也先生のオリジナル。

 

娘役のお役が殆ど無い、ということで 石田先生苦肉の策、

鹿鳴館に芸者と女子大生を登場させました。

伊藤博文の妻も芸者あがりで、当時は何人かそういう政治家がいたようです。

 

そして 英国人紀行作家のビショップ夫人(舞咲りん)も引っ張り出して 松本夫妻と

日本赤十字篤志会会長・鍋島榮子(妃華ゆきの)と共に ストーリーテラー

 

おかげさまでわかりやすかったです。

 

宝塚歌劇公式HPの 浅田次郎先生と石田昌也先生の対談でも語られていますが

長編(原稿用紙1200枚)の作品を 1時間(歌やダンス場面の時間を引いた時間)に収めて

わかりやすくするのが難しかった、とおっしゃってるので こういう策を採られたのですね~♪

 

で。貫一郎が故郷においてきた 愛妻・しづ役の真彩希帆ちゃんの出番が 原作通りでは

あまり無いのですが…

 

京の両替商の娘・みよ、と二役にしたことで きぃちゃん(真彩希帆)の出番は増え、

貧しい身なりだけではなく きれいな振り袖を着ることもできました。

 

そして この みよの貫一郎への思いも ただの横恋慕ではなく 貫一郎に「生きていて欲しい」、

武士を辞めて商人になれば 殺し合うこともなくなる、

自分の恋愛成就ではなく 貫一郎の命を思うみよの思いが 深いな~と胸熱でした。

 

この作品は 新選組の中でも無名の戦士、吉村貫一郎が主人公。

トップスターが 新選組の中でも脇役の吉村を演じるという異色の意欲作で、

ここでも 石田先生のご苦労があったと思います。

 

ウォーリーを探せみたいに だいもん(望海風斗)を探せ、なのです。

 

近藤勇(真那春人)主宰の宴席で 斎藤と隣り合わす吉村(望海風斗)ですが

脱藩してきた新参者なので 末席に座っています。

そして ペコペコと頭を下げながら 斎藤にお酌。

 

切腹の介錯をする谷(奏乃はると)にアドバイスをする時も 舞台の外寄りにいます。

柔らかい南部弁を使いながら いつもへりくだって 相手を立てて…

およそ トップスターの演じるお役ではないのですが それだけにじわんと胸に迫るものがあります。

 

トップが脇にいても存在感で魅せて 真ん中にいる生徒さんたちはそれぞれに輝いて、

これは 雪組の生徒さんがそれぞれに魅力を発信する団体芸だと思いました。

 

いつもいつも家族を思いながら 自分は修羅の道を歩んでいた、

貫一郎の姿を淡々と描くからこそ 余計に涙を禁じ得ないのだと思います。

 

プライドを捨ててでも守りたいものがある、相手を思う度量がある。

斎藤一は自分が持っていないものを持っている貫一郎が憎かった、とのちに述懐しています。

 

だいもんは、時代のヒーローでもリーダーでもないけれど家族にとってのヒーローで 

みんなの心の中に 生き続けた男・貫一郎を見事に体現して

光り輝く正義のヒーローとは違った いぶし銀の輝きで魅了してくれました。

 

とても語りきれないので キャスト別感想はまた明日~♪